私が見付けた秋日に輝く歴史的建造物!
大牟田市というところは、個人的にはとても懐かしい都市である。
大牟田は日本の近代において九州の石炭産業の中核にあって、かっては三池炭鉱を筆頭に経済発展に貢献してきた輝かしい歴史があっただけに、九州でも早くに経済的発展を見せた都市であった。
そうした大牟田にはちょっとしたデパートが昭和期にはあったこともあって、子供のときは田舎町から年に何回か親に連れて行ってもらうのがとても楽しみであった記憶がある。
石炭産業の衰退とともにその勢いは失われた感はあるが、かっての生産や輸送を担った港湾や多くのインフラ設備はいまでも市内各所に残されている。
そうした建物が何やら古き時代の郷愁を誘うのである。
久しぶりに有明海沿岸道路を通って大牟田の町筋を車で走っていたら、車窓からとてもレトロなレンガ壁が目に飛び込んできた。
とんだ時代物である。
大正期か昭和初頭に立てられたとおぼしき倉庫風な建物で、思わず途中で道路を迂回してその建造物をわざわざ見に行った。
その建物は秋の青空に映えて見事に輝いて見えた。
こうした芸術品を見学するには、その時期や時間帯というのが大事である。
その建物がもっとも美しく輝いている季節なり、時間なりがあるように思えるわけで、それがまさしく今なのだと思う。
どこを見てもレトロなレンガ壁である。
建物のデザインもいい。
毎日この建物を目にしている人には格別な想いはないかもしれないが、大牟田の産業基盤を支えたこういう歴史的建造物がいまだにこうしてしっかりと残されていることはまれなことのように思える。
とにかく建物には重厚な趣というか、周囲を圧倒するようなどっしりとした風格が備わっている。
こうしたレトロな風格のある外観というのは、そう簡単には創り出せないものである。
歴史を感じさせるだけでなく、とてもモダンで均整の取れた建造物である。
しゃれた窓枠の形や上部の飾り窓などのレトロでありながら、モダンな陰影と雰囲気が醸し出されていていいではないか。
赤く錆びた鉄の梯子や壁が適度にひび割れているところも風情がある。
かって大牟田市は、終戦間際の大規模な米軍による都市部への無差別爆撃によって甚大な被害を受けた重い歴史がある。
そうした戦災を潜り抜けた建造物であれば、それだけでもより一層輝いて見えることになる。
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