最近も近場の有名観光地に出かけることがあるのですが、インバウンド傾向が高まり始めた頃から明らかに観光客の流れに変化が現れてきました。
それは海外からの観光客が目に見えて増えてきたことです。
とにかく名の知れた地方の観光地にも海外からの新規のお客がたくさん流れ込んできているのですが、これが地元の飲食店に昼時にはどこもここも溢れかえっています。
わたしらのような日本人観光客が入り込める余地がすっかりなくなってきましたし、海外観光客を扱う会社が観光地のめぼしい飲食点やレストランを真っ先に押さえてしまっています。
そのためいままで度々訪れていたお気に入りの店舗などは海外観光客の予約で満席状態ですし、まったく利用できなくなりつつあります。
それこそ日本人客お断りと言わんばかりなのです。
これもインバウンド効果と云うことで、それだけ地場の観光業は一様に潤っていると云うことになりますが、よく見ていると観光客のほとんどは海外からのツアー客であって我が物顔で歩き回っているという感じです。
バブルの頃の日本人も海外での様子は、まるでこんな風だったのだろうと思われます。
自国通貨が強いと海外でも高級品を爆買いするわけですし、珍味を求めてあれこれと喰いあさるというわけです。
いやもとい、高額商品を買って頂き、大いに食していただいているわけですが、このことはインバウンド効果というより円安による国内バーゲンセールといえなくもありません。
それでも日本国内の美味しいラーメンも一杯3800円レベルの価格で提供されている観光地も出てきたとか最近耳にしました。
いわゆるインバウンド丼といわれるものです。
これなどは高いと云うより、当たり前の国際的なサービス価格なのではないでしょうか。
そうです日本のあらゆるサービスは、最近の円安傾向で対外的にはデフレ化しつつあるのです。
働く人の賃金もですが、外国人から見れば日本はすべてのサービスを安価に叩き売りしているように見えているはずなのです。
海外観光客の中にはチップを置いていく人もあるとか聞きますが、本来こうしたサービスを価格に添加しない、おもてなし安売り価格そのものを外国人はお買い得とみているようにも思えます。
対外的には国際的円ドル相場でのサービス価格を設定し直すべき時期に来ているのではないでしょうか？
観光事業が国策とはいえ、いままでの日本のサービスそのものの提供価格はあまりにも安すぎるのです。
言い換えれば日本人の親切さや日本的おもてなしそのものには、本来それだけの付加価値があるのだと見るべきなのです。
このままでは従事する人たちの賃金も上がりませんし、人手不足はもとより諸物価や固定費の高騰にいずれも耐えられなくなります。
国際的な競争力を失いつつある従来の製造業などではなく、若い人材をこの観光関連分野に集中させていくべきなのです。
すでに日本の所得水準もアジア先進諸国に追い越されてしまい、海外からは日本は貧乏国へと凋落しつつあるようにみられてきています。
今後国内で稼げるビジネスは、まさしくこうした観光やそれに関連する飲食業界に絞られてくると思われます。
人材不足が本格化する前にこうした海外からの需要に応えるには、サービス全般の安売りを止めてそれなりの料金をまず提示していくべきではないかと思います。
すでに有名観光地の宿泊料金は上昇し始めましたし、ビジネス対象を海外の富裕層に絞った高級志向がますます注目され始めています。
これからはインバウンド丼だけではなく、インバウンドホテルとかインバウンドホスピタルとかも参入すべきです。
極端な話、食材にしてもそこでは安い肉が求められているのではなく、やはり高くても旨いブランド肉が求められているはずなのです。
わたしら日本人はいままでのように観光地に出かけていっても、そこでの食事は断念せざるを得ませんし、以前のようにそこの宿泊施設を利用できないことを理解しなくてはなりません。
ということで、今では海外観光客が訪れない別の場所を自分たちで探していっています。
探せばあるのです、新たな日本人向けの観光地が。
そこは穴場と云うよりは、年寄り夫婦や子連れ家族が憩いやすい新たな場所と云うことになるのですが、ほんと人の考えることや求めているのは皆どこか似通っているもので、事前に申し合わせたように特定の場所や施設に続々と集まってくる状況には本当に驚いてしまいます。
それこそ同じような日本人ばかりというわけです。
それを見ていると、日本人は日本人でこうした新たな自分たちの観光地を求め始めているのだと思いました。
これもある意味愉快なことではあります。
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