子供の目には触れさせたくない肉食昆虫！
身近な昆虫、カマキリのことをご存じですか？
夏場から秋口に掛けて田舎ではよくカマキリを見かけます。
昆虫といってもカマキリは貪欲な肉食系です。
植物は一切食べないわけですから、葉っぱに似たカラダの色そのものはカモフラージュのためのものなのです。
動くものを狙って何でも捕食してしまいますから、昆虫界の凄腕スナイパーと云うことになります。
性格は攻撃的で凶暴と言えますし、とにかく獲物は何でも喰います。
そのためカマキリは強力な大顎と獲物を捕獲する鎌状の大きな前足を持っています。
それでいて体型は割とスリムですし、羽根を広げて身軽に飛ぶことも出来ます。
捕食する獲物はそれこそ色とりどりです。
狙う獲物は幅広く、どんな場合でも選り好みはしません。
トンボ、スズメバチ、バッタ、ゴキブリ、クモ、さらには大物のミミズ、カエル、ヘビ、ヤモリなども捕食します。
驚いたことに自分より大きな小鳥も狙うと云うことですが、これはネットで動画も公開されていました。
その上、別のカマキリに出くわせば、ときたま共食いもします。
要するにカマキリはその暴力性、凶暴性ということでは、あのスズメバチ同様か、それ以上なのです。
子供の夏休みの昆虫観察などは、当然避けるべきでしょう。
カマキリはそれほど敏捷に動き回るわけではなくて、むしろ比較的ゆっくりとした動きが特徴でもあります。
それでいながら、その体は意外と柔軟性があって、胴を掴まれても上体を180度回転して果敢に攻撃を仕掛けてきます。
特に頭部は回転が効いて、自在にそれも真後ろまで広範囲に動かせますから、名うてのハンターだけに視野そのものが広いのです。
さらにもう一つの特徴は、意外にもカマキリの成虫はメスの方がオスより体型が一回り大きいのです。
またよく知られていることですが、カマキリは交尾中にメスがオスを捕食することがあります。
交尾中にメスがオスの頭部にかじりつき、まず運動神経の中枢の組織をボリボリと囓って食べ始めます。
これでオスはまったく体が動けなくなるわけで、そのまま上半身からどんどん捕食されてしまうわけです。
オスは上半身が食べられても下半身は機能するというわけで、この辺りは自然の摂理といいますかすごくシビアです。
オスは捕食されて雌の産卵のための重要な栄養源になるわけです。
この場合食べられるのはオスであってメスが捕食されることはありませんし、ここはあくまでもオスがメスに食べられるのです。
また交尾中に必ずしもオスが捕食されるというわけではなく、そのときメス側に空腹感があればの話です。ここが肝心なポイントでもあります。
メスが腹を空かしているか、満腹かでオスの命運は左右されるというわけですから運悪く飢えたメスに遭遇したら、肉食系のオスであってもメスにボリボリと食われてしまうことになります。
最近の研究報告では、「栄養状態のよいメスは通常、オスを食べたりしない。だが、栄養不足だと90%がオスを食う。しかも、交尾に至るのは約半数にすぎない。1匹食えば栄養状態は33%改善し、繁殖力は40%向上する」とあります。
いかにもここらは合理的な展開と云えます。
しかも栄養状態の悪いメスほど『交尾OK！』を意味するフェロモンを多く発してオスを誘引しているというのです。
怖いですね、凄いですねー！
こうなるとカマキリのオスは自ら進んで飢えたメスの発するフェロモンに引き寄せられて、本能のままにフラフラと近付いていくことになります。
カマキリの世界でも、何だか危険な香りがしてくるメスがよりセクシャルで魅力的なんでしょうね。
これらが自然の摂理と云うことなのでしょう。
Sexual deception in a cannibalistic mating system? Testing the Femme Fatale hypothesis
https://royalsocietypublishing.org/doi/full/10.1098/rspb.2014.1428
カマキリそのものは昆虫世界の凄腕のスナイパーであり、相手を寄せ付けない、どこまでも孤独な暗殺者という感じです。
もしも野外でカマキリのオスに遭遇したら、その過酷すぎる身の上にちょっと同情してあげて下さい。
とは云っても、こんなこと子供にはちょっと教えられませんよね。
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